「投資を始めたいけど、専門用語が多くてよく分からない…」
そんな悩みを抱えていませんか?
株式投資の世界では、専門用語が飛び交っています。しかし、これらの言葉の意味を理解することは、投資で成功するための第一歩です。
このページは、投資の言葉を一つひとつ調べるのが面倒だと感じている、あなたのための辞書です。株式投資を始める上で絶対に知っておきたい必須用語から、SNSでよく使われるスラングまで記載しております。
読み進めやすいように、カテゴリー別に整理しています。
知りたい言葉がある場合は、目次からすぐにジャンプして確認してください。
1. 基本用語(投資の土台)
株式(かぶしき)とは?
株式とは、株式会社が資金を集めるために発行する「会社の一部を所有できる権利」のこと。投資家は株式を購入することで、その会社の「株主」になります。
株主になると、主に以下の3つのメリットがあります。
- 経営への参加: 議決権を通じて、会社の経営方針に意見を言える
- 収益の享受: 会社の利益の一部を配当や株主優待として受け取れる
- 値上がり益の獲得: 株価が上昇したときに売却して利益を得られる
単元株(たんげんかぶ)とは?
単元株とは、証券市場で売買される株の「最低取引単位」のこと。日本では多くの銘柄が100株単位で取引されています。
例えば、終値が1,000円の銘柄を買う場合、100株で100,000円の資金が必要になります(手数料は除く)。株主優待や配当を受け取るための最低保有株数も、この単元株が基準となることがほとんどです。
時価総額(じかそうがく)とは?
時価総額は、「株価 × 発行済み株式数」で計算され、企業の市場における総合的な価値を表します。
- 大型株: 時価総額が大きく、流動性が高いため、値動きが比較的安定している傾向。
- 小型株: 時価総額が小さく、流動性は低いものの、大きな成長余地を秘めていることが多く、株価の変動(ボラティリティ)は高くなります。
2. 指標・評価(財務指標)
PER(株価収益率)とは?
PERは、株価が「1株当たりの利益(EPS)」の何倍まで買われているかを示す指標。計算式は「PER=株価 ÷ EPS」。PERが低いほど、一般的には株価が割安と判断されます。
ただし、業種や成長性によって適正な水準は異なります。単純な数値比較だけでなく、同業他社や過去の推移と見比べることが重要です。
PBR(株価純資産倍率)とは?
PBRは、株価が「1株当たりの純資産(BPS)」の何倍かを示す指標。計算式は「PBR=株価 ÷ BPS」。理論的にはPBRが1倍未満の銘柄は、会社の解散価値よりも株価が低い「割安」な状態と考えられます。
ただし、ブランド力などの無形資産は純資産に含まれないため、業種によってはPBRが1倍を超えていても割安な場合があります。
ROE/ROA(経営効率指標)
- ROE(自己資本利益率): 会社の自己資本(株主から集めたお金など)をどれだけ効率的に使って利益を上げたかを示す指標。
- ROA(総資産利益率): 会社の総資産(自己資本+借金)全体を使ってどれだけ利益を上げたかを示す指標。
ROEが高い企業ほど、株主から預かったお金を上手に運用していると言えますが、借金が多いとROEは高くなるため、負債比率と合わせて確認することが大切です。
3. 配当関連(インカムゲイン)
配当利回りとは?
配当利回りは、「年間配当金 ÷ 株価」で計算され、株価に対する配当金の割合を示します。利回りは株価の変動で常に変わるため、参照する際は必ず「●年●月●日時点」と記載しましょう。
高利回りは魅力的ですが、その配当が今後も継続して支払われるか、配当性向やキャッシュフローを確認することが重要です度。
配当性向・DOEとは?
- 配当性向: 会社が稼いだ利益の何%を配当金として株主に還元したかを示す指標。
- DOE(自己資本配当率): 会社の自己資本に対して、どれだけの配当を支払ったかを示す指標。
配当性向が高すぎると、利益が少し減っただけで減配のリスクが高まります。長期的な配当の安定性を測るには、両方の指標をチェックすることが実務的です。
配当金(インカムゲイン)とキャピタルゲインとは?
投資の収益源は、大きく分けて2種類あります。
- インカムゲイン: 資産を保有している間に得られる収益。株式では主に配当金や株主優待を指します。
- キャピタルゲイン: 資産を売却して得られる収益。購入時よりも株価が値上がりした際の売却益を指します。
配当を再投資し続けると、複利効果によって資産が雪だるま式に増えていく戦略も広く使われています。
累進配当とは?
累進配当とは、「配当金を減らさない」ことを方針に掲げ、可能な限り増配を目指す企業の配当政策。投資家にとっては、安定したインカムゲインを期待できるため人気の高い方針です。
投資する際は、企業の中期経営計画やIR資料で累進配当を明示しているか、そして過去の配当推移で実際に方針が実行されているかを確認しましょう。
株主優待とは?
株主優待は、企業が株主に対して自社製品や割引券などを提供する制度。多くの場合、100株以上の保有が条件になります。
優待目的で、クロス取引(買いと空売りで権利だけ取る手法)を行う投資家もいますが、最近は継続保有条件を設ける企業も増えており、注意が必要です。
4. 売買・取引手法
現物取引と信用取引とは?
- 現物取引: 自分の資金だけで株を売買する、最も基本的な取引方法。元本以上の損失は発生せず、配当や優待の権利も基本的に得られます。
- 信用取引: 証拠金を担保に、資金や株を借りて売買する取引。自分の資金以上の取引(レバレッジ)ができる反面、大きな損失を被ったり、追加の資金を求められる追証のリスクがあります。
空売り(ショート取引)とは?
空売りは、株価が下がることで利益を狙う取引。証券会社から株を借りて先に売り、株価が下がったところで買い戻して返却します。
「理論上は損失が無限大」になるリスクがあるため注意が必要です。
クロス取引とは?
クロス取引は、同じ銘柄の「買い注文」と「売り注文」を同時に出すことで、株価を動かさずに売買を成立させる手法。主に株主優待の権利を最小限のコストで取得するために行われます。
手数料や貸株料がかかる他、近年は制度変更も多いため、安易な運用は危険です。
5. 商品・制度(NISA・iDeCo 等)
NISA/つみたてNISA/新NISA
- NISA(少額投資非課税制度): 投資で得た利益(運用益)が非課税になる制度。
- つみたてNISA: 長期・積立投資に特化し、手数料の低い投資信託などが対象。
- 新NISA: 成長投資枠とつみたて投資枠を併用でき、非課税保有限度額が大幅に拡大された新しい制度。
制度は頻繁に変わるため、最新情報を確認して運用方針を決めましょう。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoは、自分で掛金を拠出して運用し、老後資金を形成する私的年金制度。拠出金が所得控除の対象になるなど税制メリットが大きいです。
ただし、原則60歳まで引き出せないため、まずは生活防衛資金を確保したうえで始めるのがおすすめです。
ETF/投資信託/REIT
- ETF(上場投資信託): 株式と同じように、証券取引所でリアルタイムに売買できる投資信託。
- 投資信託: 複数の投資家から集めた資金を、専門家(ファンドマネージャー)が運用する商品。少額から分散投資が可能です。
- REIT(不動産投資信託): 不動産に特化した投資信託。不動産を直接所有することなく、家賃収入などを分配金として受け取れます。
6. 投資戦略・リスク管理
分散投資
分散投資は、1つの資産に集中させず、複数の資産(株、債券、不動産など)や地域、業種に分けて投資することで、リスクを減らす手法です。
見かけ上は分散していても、同じ要因で値動きする資産(例:米国株と米国債券)ばかりでは意味がありません。異なる値動きをする資産を組み合わせる相関関係を意識することが重要です。
ドルコスト平均法
ドルコスト平均法は、一定額を定期的に投資していく方法です。
高値では少量、安値では多く購入することになり、購入価格が平均化されるため、価格変動リスクを抑えられます。
長期の積立投資と相性が良い手法です。
リバランス
リバランスとは、時間の経過とともにズレてしまった資産の配分比率を、目標とする比率に戻すこと。例えば、「株式60%、債券40%」の目標比率から、株価上昇で「株式70%、債券30%」になった場合、株式を売却して債券を購入し、元の比率に戻します。
手数料などを考慮し、半年に1回、年に1回などとルールを決めて機械的に行うのがおすすめです。
7. 企業イベント・決算関連
決算(四半期・本決算)の読み方
決算は、企業の業績と将来性を見通す上で最も重要な情報源。特に注目すべきは以下の項目です。
- 売上高: 企業が本業でどれだけ稼いだか
- 営業利益: 本業でどれだけ利益が出たか
- 当期純利益: 税金などを差し引いた最終的な利益
- ガイダンス(業績予想): 企業が発表する今後の見通し
株主総会と事業報告の確認ポイント
株主総会は、事業報告や役員報酬、配当方針などを確認できる重要な場です。
事前に送付される招集通知には、会社の重要な議案が記載されています。
8. 株式市場と社会の関係
金融政策(利上げ/利下げ)
金融政策とは、中央銀行(日本では日本銀行)が景気の安定を図るために、金利やおご金の量を調整すること。
- 利上げ: 金利が上がり、企業や個人がお金を借りにくくなるため、株価にはマイナス要因になりやすい。
- 利下げ: 金利が下がり、お金が借りやすくなるため、株価にはプラス要因になりやすい。
景気サイクル
景気は常に変動しており、「景気拡大 → 後退 → 谷 → 回復」のサイクルを繰り返します。
- 景気拡大期: 企業の利益が伸び、株価が上昇する傾向。グロース株が強い。
- 景気後退期: 企業の業績が悪化し、株価が下落する傾向。景気に左右されにくいディフェンシブ株が相対的に強い動きを見せる。
為替相場(円安/円高)
為替の変動は、海外と取引する企業に大きな影響を与えます。
- 円安: 同じ価格で売っても円換算した売上が増えるため、輸出企業にはプラス要因。
- 円高: 原材料などの輸入コストが下がるため、輸入企業にはプラス要因。
9. 投資の心理と行動
プロスペクト理論
人は、利益を得る喜びよりも、同額の損失を被る苦痛をより大きく感じるという心理的な傾向。
このため、「含み益が出たらすぐに売る(利食い)」、「含み損が出たら売るのをためらう(損切りできない)」といった行動につながりやすい。
コンコルド効果(サンクコストの罠)
既に投じたお金や労力(サンクコスト=埋没費用)を惜しみ、将来性がないと分かっているのに投資を続けてしまうこと。「ここまで下がったんだからもうすぐ上がるはず…」と、合理的な判断を妨げてしまう心理です。
バイアス(認知バイアス)
人は無意識に、物事の判断を歪めてしまう認知バイアスを持っています。
例えば、自分の考えを裏付ける情報ばかりを集める確証バイアスなどがあります。
10. 投資に関する名言・スラング集
著名投資家の名言
- 「皆が貪欲になっているときは恐る恐く行動し、皆が恐れているときは貪欲に行動せよ。」(ウォーレン・バフェット)
- 解説: 市場が過熱して皆が買いに走るときこそ、冷静にリスクを考えるべき。逆に、暴落して皆が不安になっているときこそ、割安な銘柄を探すチャンスだという教訓。
株のスラング
スラング | 意味 |
イナゴ | 噂や情報に群がり、短期的な売買を繰り返す投資家のこと。 |
売り豚 | 空売りで損失を出している投資家のこと。 |
買い豚 | 信用買いで損失を出している投資家のこと。 |
塩漬け | 含み損が出ている株を、売却せずに長期保有し続けること。 |
ナンピン | 株価が下がった際に、さらに同じ銘柄を買い増し、平均取得単価を下げること。 |
機関(投資家) | 証券会社や信託銀行など、巨額の資金を動かすプロの投資家のこと。 |
握力 | 損失が出ても、株を売らずに保有し続ける意志の強さのこと。 |
よく使う計算式(クイックリファレンス)
- 単元取得コスト = 終値 × 単元株数(通常100)
- 配当利回り(%) = 年間配当 ÷ 株価 × 100
- PER = 株価 ÷ EPS
- PBR = 株価 ÷ BPS